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自由神経終末の作製と痛みメカニズムの解明



【概要】
痛みは自由神経終末という部分で受け取られ、その情報が脳に伝わり痛みとして認識される。 しかし保存の難しい自由神経終末において、詳細なメカニズムは未だ解明されていない。 そこで本研究では自由神経終末のin vitroモデルを作製し、メカニズム解明に取り組む。

【背景・結果・展望】
痛みは自由神経終末という部分で受け取られ、その情報が脳に伝わり痛みとして 認識されることが知られている。近年、自由神経終末が伸長する上皮細胞も痛み刺激を受け取り、 その情報を自由神経終末に伝達することを示唆する報告が増えている。 しかし、上皮細胞と自由神経終末との相互作用を直接的に証明する報告は未だにない。 その理由として、自由神経終末の保存が難しく研究材料がないこと、 in vivoでは複雑な構造であるため実験が困難であることが挙げられている。 そこで本研究では、自由神経終末のin vitroモデルを作製し、 痛み刺激時の上皮細胞と自由神経終末の伝達メカニズム解明を目指す。
自由神経終末は、後根神経節から伸長した求心神経系であり、その神経突起が上皮細胞にまで 伸びている。そこで、後根神経節から神経細胞体、皮膚から上皮細胞をそれぞれ 新生ラットから単離し共培養した。共培養時には、生体内により近い環境を再現するため、 神経細胞体と上皮細胞を別区画で培養した。その結果、上皮細胞にまで伸長する 自由神経終末が確認できた。
今後、in vitroモデルの再現性の確立と共に、上皮細胞に痛み刺激を与えた際の、 自由神経終末における化学シグナル応答や電気シグナル応答を、Ca2+ イメージング、 パッチクランプで調べることでメカニズム解明を目指す。またモデルの確立後には、 自由神経終末の痛み応答に関与しているといわれるマスト細胞と共培養することで、 新たな痛み応答の再現モデルにも繋げていきたい。

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