タンパク質の超高感度ELISA測定

がんや感染症などの早期診断には、原因となる腫瘍のもつタンパク質やウイルス・細菌のもつタンパク質の検出が必須である。
私たちの研究室ではサンドイッチELISA法にチオNADサイクリング法を組み合わせることで標的タンパク質から得られるシグナルを増幅させることで、
超高感度検出する方法を確立した。現在、この方法を利用して、がんのバイオマーカーや感染症に係わる細菌やウイルスの検出を試みている。
高感度にタンパク質の定量を行なう方法の1つにELISA法(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)がある。
ELISA法は特異性の高い抗原抗体反応を利用し、酵素反応に基づく発色(または発光)をシグナルとして検出する方法である。
ELISA法は同様の原理に基づく放射免疫測定(ラジオイムノアッセイ、RIA)などと比べて、放射性物質を用いないため、安全性が高く、安価で簡便であり、
現在、微量タンパク質や感染微生物抗原の検出・定量に広く用いられている。ELISA法にもいくつかの方法があるが、その中でもサンドイッチ法は定量性がある。
いずれにしても、高感度にタンパク質の微量測定を行おうとすると、微弱なシグナルの検出に努めることになる。その検出のために、
例えば高感度のカメラを用いたり、長時間にわたってシグナルを積算したりする作業が必要であり、おのずと限界が決まってしまう。
そこで、「タンパク質は増幅できない」かつ「シグナルは微弱である」という二つを考慮した場合、
それならばいっそのこと「シグナルを増幅すればよい」という考えが出てくる。
この発想からELISA法と酵素サイクリング法を組み合わせた、微量分子をより高感度で測定するという超高感度ELISA測定法が開発された。
現在、私たちの研究室では、がんマーカーになりうるタンパク質、感染症に係わるウイルスのタンパク質、認知症に係わるタンパク質、
などを検出するべく、超高感度ELISA測定法を適用している。