免疫細胞の機能分化の制御メカニズム
濾胞性ヘルパーT(Tfh)細胞は、B細胞の最終分化と抗体産生を制御し、
抗原特異性の高い体液性免疫に重要な役割を果たす。Tfh細胞分化の異常は、
生体防御機能の低下やアレルギー・自己免疫疾患などの発症の可能性を高める。
しかし、Tfh細胞の分化誘導機構には不明な点が多く残されている。Tfh細胞分化の過程は
いくつかの段階からなることが多くのin vivoでの解析から明らかとなった。
その段階ごとの分化誘導シグナルを定量的および経時的に解析し、分化誘導機序を解明するためには、
in vivo Tfh細胞誘導反応をほぼ正確に反映するin vitro実験系を
構築することが有用だと思われる。しかし、未だに再現性の高いin vitro
Tfh細胞分化誘導系はマウス細胞で確立されていない。そこで我々は、Tfh細胞分化の分子機序を
明らかにすることを目的として、Tfh細胞分化に関与する体内外の因子を探り、
Tfh細胞分化誘導におけるそれらの役割を明らかにすることで、in vitro
Tfh細胞分化誘導系を構築することを目指している。